2016-07-02 Sat
この1か月半で初心者の子達が8人も新たに入会してくれました。センスの良い子も多いので、私も気合が入ってきています。
中には、ブログで紹介した本を買った方、お家で将棋の勉強を始めた方などもいらっしゃるようなので、
これまでにもブログに書いたことがあるのですが、将棋の本の読み方について私の考えを書きます。
前回も書きましたが、
ルールを覚えたら、まずは指してみるのが良いです
私の知っている限りでは、PCではハム将棋がおすすめで、アプリだと将皇入門編がおすすめです。
他にもいろいろと初心者向けのアプリはあると思います。
指せるようになったら、
詰将棋を解いていくのが上達の近道です。
先日「一丁目三番地」という本を紹介しました。
解き方についてですが、見てわからなければすぐに答えをみて良いです。
最初の段階だと、難しすぎるかもしれないですし、難しいのずっと考えていてはストレスがたまり、将棋が嫌になってしまうかもしれません。
ドンドン答えをみて、答えの意味を理解することが大事です。
一丁目三番地の場合ですと、最初は一手詰だけで十分です。
問題を見て、答えを見て、詰んでいることを確認したら次に行き、
一手詰めの章を解き終わったら、また最初から解いていきます。
今度もわからなければ答えを見るというのを繰り返すと、そのうち、答えを見なくてもわかる問題も出てきます。
何度も繰り返して、全問答えを見ないでもわかるようになった時には、
教室の級は3級位は確実に上がっているはずです。
ある程度強くなってきたら、一問を10分とか20分とか真剣に考えるのも大事ですが、
最初は基礎的な詰まし方、駒の使い方が頭に入っていないので、何をどう考えたら良いのかすらわかりません。
一手詰を解けるようにするのは、考えるための材料を身に着けるための作業です。
詰将棋検定13級の問題は、本当の基礎問題なので、5分で12問完璧に答えられるようになるまで、何度も繰り返してもらっています。
わざわざ本を買わなくても、最初は、詰将棋検定の問題の復習、裏の問題を見る、ソフトなどと指してみるだけでも、
上達していくと思います。
将棋教室の時だけ将棋に触れるのでは、強くなるペースはなかなか上がっていかないと思います。
2016-06-18 Sat
これまでにもこのブログには将棋の勉強方法についていろいろと書いてきましたが、ご質問頂くことも多く、最近、教室にとても熱心な子達がたくさん入ってきたので、少し書いておきます。
①駒の動かし方、ルールを学ぶ
ルールは教室でも1回は教えますし、本や、ネット上などでも見ることができます。
ルールを覚えたらハム将棋等で、とりあえず指してみるのが良いと思います。
やってる内にわかってきます。
②1手詰の形を覚える
詰将棋検定の13級の問題が解けるようになれば大丈夫です。
これがわからないと、将棋の詰みの形がわからず、なかなかゲームが終わらないので、面白くないと思います。
③3手詰の問題を覚える
詰将棋検定の裏にいつも印刷している「代表的な詰み手筋」を何度も繰り返し解きます。
これにより、将棋の駒の効率的な使い方、王様の捕まえ方の基本パターンを覚えることができます。
これは、詰将棋だけでなく、駒の使い方もたくさん覚えることができるので、とても有効な勉強です。
1回解けて満足ではなく、何度も繰り返し、見た瞬間に答えがわかるところまで仕上げることが大事です。
②③の勉強をもっとやりたい子には、以前この教室のブログでも紹介した。
詰将棋一丁目三番地という本がおすすめです。
①~③まで学習した後は、今教室で毎回やっている、序盤・中盤・終盤ごとの考え方、
戦法などを学んでいけば、将棋の基礎は身に付き、あとは勉強すればするほど強くなるという状態になると思います。
初級者・初心者が強くなる過程はたくさん見てきたので、強くなりたいという子は教室の前後などで相談頂ければ、
アドバイスできると思います。私は、来てくれている子を強くしたくて教室をやっているので、ご遠慮なくご相談ください。
2013-06-10 Mon
将棋には、「手筋」と呼ばれるたくさんの技があります。手筋には簡単なものから難しいものまでたくさんあります。
技をスパッと決めるのも将棋の醍醐味の一つだと思います。
技が決まるとそれだけで勝負が決まってしまうことも多いので、
有段者同士の対局では、互いに技を警戒し、その結果実際の盤面に大技が現れることは少ないかもしれません。
(水面下ではたくさんの技の筋を互いに狙い合い、消し合っています。それが面白いのです)
しかし、子供同士の対局では、互いに技が見えていないことが多いために、派手な技をかけるチャンスがたくさん訪れます。
将棋の技をたくさん学ぶことも強くなる上でとても大事なことです。
(ただし、どんなに凄い技を決めても、詰ますことができないと勝てないので詰将棋を最初に教えています)
教室でも、毎回いろいろな技を教えていきます。
今回は、私が実際に教室で配っているプリントから問題を抜粋して、
手筋の教え方について書いていこうと思います。
以下は有名な桂馬の手筋です。

「桂のふんどし」と言います。
この局面だけを見れば、駒の動かし方がわかる子は、どこに桂を置けば良いかすぐわかると思います。
大事なのは、実戦でこれに気づけるようにすることです。
そのためにプリントでは、実戦風にして、「桂のふんどし」を決めることができる場所を探す訓練をします。

これを見つけることができるようになったら、
今度は、「桂のふんどし」を決めることができる一手前の状態の局面を作って、
そこでどうすれば「桂のふんどし」を決めることができるかを考えてもらいます。

このように段階を踏んで「桂のふんどし」という手筋を使いこなせるようになってもらいます。
ちょっと将棋を知っている人にとっては簡単すぎる問題ですが、
初心者の子には結構大変な問題のようです。
ひとめの手筋、羽生の法則等の本は、こういう手筋がたくさん載っていて、とても良い本なのですが、
![]() | 将棋・ひと目の手筋―初級の壁を突破する208問 (MYCOM将棋文庫SP) (2006/08/01) 不明 商品詳細を見る |
![]() | 羽生の法則2 玉桂香・飛角の手筋 (将棋連盟文庫) (2011/10/14) 羽生 善治 商品詳細を見る |
部分図であることと、各問題の難易度がバラバラで、初級クラスの子供が読んでいくのは難しいと
思い、毎回自分で作ることにしています。
教えた手筋を指導対局ではなるべく食らうようにしてあげます。
覚えたその日の内にその技を使うと記憶が定着しやすいとの考えからです。
中級クラスの子には、これらの問題は簡単過ぎるので、
他のプリントを用意しています。
プリントで学習することの利点は、お子様のレベルに合わせて、
適度な難易度の問題を提供することができることです。
メールで直接私宛てにお問い合わせの方は、こちらまでお願いいたします。
2013-06-01 Sat
詰将棋の解き方には「簡単な問題を早く解けるようにする訓練」と、
「少し難しめの問題を深く考えるようにする訓練」の二つがあると思います。
「どちらが効果があるのか?」ということですが、
私は、それぞれ別の部分が鍛えられると思っています。
「簡単な問題を早く解けるようにする訓練」は、
詰将棋の問題の答えを考えるというより、
詰みの形をきちんと記憶できているかのチェックのような作業です。
これの効果は、「感覚を養う」ということだと思います。
この「感覚」というのは、
実戦で、相手の玉形(王様やその周りの駒の位置)を見て、
「これは詰みそうだな?」や「こうすればもうちょっとで詰む形になりそうだな?」
などということを感じる「感覚」です。
たくさんの詰む形を知っていると、実戦で相手より早く詰みそうな形に気づくことが
できるようになります。
相手が気づいていないのに、自分が気づいているということはとても有利です。
詰む形を覚えておらず、考えなければ解けない段階では、
実戦では「詰みそうな形」に気づきにくいです。
詰将棋の本では「3手詰めの問題だ」ということが分かっていて解いていますが、
実戦では、その局面が「3手詰めです」なんて教えてもらえないですし、
詰みがあるかどうかすらわからない状態から考えなければなりません。
その状態で詰みそうな形であることに気づくためには、「詰みの形」を記憶している必要があります。
実戦では
「詰みそうだな?」
と思った後に、
今度はその「感覚」が本当に正しいのかを考える必要があります。
この時に役立つのが、
「少し難しめの問題をじっくり深く考えることができる力」です。
これが所謂「読みの力」です。
この「読みの力」は、終盤(詰む詰まないの局面)だけでなく、
序盤(互いに駒の配置を決めている段階)に置いてもとても役に立ちます。
「自分がこうしたら相手はどうするだろう?」
と深く考えていくことができるようになります。
前々回の教室から、
この「感覚」と「読みの力」両方を鍛えるトレーニングを始めました。
3月に教室に来た時には、
学校で友達に全然勝てなかったS君が、
教室に通い始めて3か月弱で、かなり勝てるようになってきたそうです。
「勝つための技術」を一生懸命教えているので、
当然とも言えますが、
そういう話を聞くのは
私のモチベーションにも繋がります。
教室の子が、大会や、学校で、他の子にたくさん勝てるようにがんばっていきたいと思います。
2013-05-25 Sat
将棋の手には「良い手」と「悪い手」の他に「普通の手(良くも悪くもない手、少しだけ良い手)」というのがあります。みんな将棋を指す時にはまず「良い手」を探します。
「良い手」とは、
「駒をタダで取れたり」、「相手の陣地を破れたり」、「自分の王様をがっちり守ったり」
と「価値の高い手」です。
初心者の子達もみんな一生懸命「良い手」を探します。
詰将棋は「良い手」だけの連続で相手を詰ましていきます。
「良い手」を見つける練習ということもできると思います。
だから詰将棋は大事なのです。
ところが、将棋では「良い手」がないことも結構あります。
初心者の子にありがちなのが、
「終盤(将棋が終わりに近付いている局面)に、
「良い手」がないのに、無理やり考えて捻りだそうとして、
思いつかないので、無理な攻め(悪い手)を決行してしまい、逆転されてしまう。」
ということです。
「良い手」を指すのと同じか、それ以上に大事なのが
「悪い手」を指さないということです。
「良い手」を指すことだけを考えていると、
「悪い手」を指してしまうことが結構あります。
終盤に悪い手を指してしまうと大抵負けてしまいます。
「良い手」がないと判断したら、とりあえず何か指さなければならないので「普通の手」
を指して我慢するというのは、将棋を上達する上で必要な考え方です。
この「普通の手」を指すという感覚は、
どうぶつしょうぎが強くなる過程で学ぶことができます。
この考え方の例を、
前回のどうぶつしょうぎの研究4の続きの局面で考えてみたいと思います。
まず下の局面です。

この局面で「良い手」に見えるゾウを取る手が実は「悪い手」ということは前回の記事で書きました。
じゃあこの局面でどうするのが「良い手」なのでしょうか?
王手されている駒を取れないのであれば、ライオンが左に逃げるか、右に逃げるかしかないのですが、
左に逃げると、頭にヒヨコを打たれて、ヒヨコとキリンの交換を迫られてしまいます。
ここでは右に逃げるしかありません。(「良い手」とは言えないと思います)

ここで上側が指す手がまた難しいです。
相手を詰ますような「良い手」は見当たりません。
とりあえずゾウを取られてもとりかえせるようにヒヨコで補強します。

さて、今度は下側の指し手が難しいです。
やはり「良い手」は見当たりません。
初心者の子はここで「良い手」が見当たらずに、玉砕覚悟で無理な攻めをしてしまうことも多いです。
ここでは「良い手」がないので「悪い手」を指さないことを考えます。
「悪い手」とは、「駒を損する」、「詰まされる」ような手です。
私はこの局面でいつもヒヨコを打ちます。

これは「良い手」ではないと思いますが、
相手にも「良い手」がないので、相手が動くのを待つという手です。
ここで上側が指す手はライオンを引く以外はすべて「悪い手」となってしまっています。
ライオンを引かれたら、こっちもヒヨコをあげるくらいしか手がありません。

この局面からは互いに「悪い手」を指さない駆け引きの連続となっていきます。
ここからの変化は難しいのでまた機会があれば書こうと思います。
教室では、
まずメインとしては「良い手」を探す訓練をしていきます。
これが「詰将棋」や「手筋」の勉強です。
次に実戦を通じて、指導対局では「悪い手」を指摘していきながら、
「悪い手」が少なくなるように指導していきます。
メールで直接私宛てにお問い合わせの方は、こちらまでお願いいたします。